【日記】ジョギングと音楽と心の弱さ、の話

【日記】ジョギングと音楽と心の弱さ、の話

前にも書いたような気がしますが、僕はシステムエンジニアと兼業で作家をやっています。

二足のワラジ(この表現もう古すぎない?)を履いているわけですが、どっちの仕事も椅子に座ってひたすらパソコン作業なんですよね。

作家デビューの頃にフルリモートの仕事になれたのは心身の負担を大幅に軽減できたんですが、まあその分、圧倒的なアレが来るわけです。

運動不足。

通勤の必要もないので、家から一歩も外に出ないなんて日もザラにあります。作家業もやり取りはメールだけですんじゃいますし。

こんな日々を過ごしていたら将来的に衰える一方だよな…と考え、最近は仕事終わりにジョギングをしています。

ランニングウェアを一式買って(形から入るって大事)、耳を塞ぐのは危険なので骨伝導イヤホンも買って、音楽を聴きながら走ってました。

スポーツは元々得意でも好きでもないんですが、毎日のように走っていると、ちゃんと体が強くなっていくのを実感できるんですね。

最初は割とすぐに疲れていたけれど、どんどん走れる距離が伸びていくのが分かります。

そうすると楽しくなってきて、今日も走ろう、というモチベーションに繋がる。

夏は陽が落ちるのも遅いので、ゴール地点にしている高台に着く頃に、ちょうど綺麗な夕空を見れるというのも良かった。

息を切らして汗を流し、自販機で買ったペットボトルの水を飲みながら広い空を見て、少しずつ色が変わっていく雲を眺めるのは、良い意味で色々と感傷的になれる時間でした。

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ところで、走っている間は当然人との会話もないし、スマホを見たりもできない。そうすると自分と向き合う時間が必然的に長くなります。

音楽を聴いている間は、メロディや歌詞が強制的に思考を上書きしてくれるからいいんですけど、先日、走ってる時に骨伝導イヤホンが壊れたんですよ。ボタンを押しても起動しなくなった。買ってから一ヶ月経ってないのに。結構気に入っていたのに。まあめちゃくちゃ安かったから作りが甘かったのかもしれない。

音楽がないと、心の全てが自分に向かっていく。

傷付いたこと。悲しかったこと。ムカついたこと。納得できていないこと。

嬉しいことや幸せなこともあるはずなのに、そういうネガティブな感情ばかりが心を埋め尽くしていく。もう何年も前のことでも、今でも消化しきれていない。

最近じゃ自分はPTSDなんだろうかと思うくらい。

自分の中にそういう暗い影が噴出していくと、優しさも失っていくような気がする。

愛も、憎悪も、伝染する。

人から優しくされたら、自分も周りに優しくしたいと思うし、虐げられてきたら、同様に周りを傷付けてしまうだろう。

それなら愛情や優しさを繋げていった方がいい。

そのためには自分の中の暗闇は表出させてはいけない。

でも振り切ろうとしても、過去は腕や足や心を掴む。鋭い爪が食い込んで、血が流れていく。

…この話にオチがあるわけじゃないんだけど、心を満たして切り替えてくれる音楽の力ってやっぱりすごいよな、と思った、ということです。

だからなるべく走る時は音楽を聴いていたいので、また新しい骨伝導イヤホンを注文しました。懲りずにまた安いやつを…。

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僕は昔から、自分は心が弱いな、と思ってました。

些細なことで悲しい気持ちになるし、落ち込んだらなかなか動き出せないし、すぐに不安が心を縛る。

学生の頃は、こんなんで社会に出てやっていけるんだろうか、と本気で思ってました。

でも、社会人になってみれば案外なんとかやっていけているし、何なら学生の頃よりもずっと気楽にやれている(ここ数年は)。

それに、何より、弱い心があったから、作家になれたんだと思う。(強い心で作家をやっている人も当然いると思うけど)

傷付いた人とか、生きるのが不器用な人とか、うまく周囲に馴染めない人とか、そういう人たちにだけ見える美しい世界があることを僕は願っているし、ある意味確信もしている。

だから小説を書いている。

書き続けたいと思っている。

この願いを手放すくらいなら、強い心なんていらないと思っている。

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同じように「自分は弱い」と思っている人は、きっと多いと思う。

でも、案外なんとかなるものだし、弱いことを自覚しているからこそ発揮できる優しさとか、傷付いた経験がないと気付けない世界の美しさとか、あなただから生み出せる作品なんかもあるかもしれない。

だから、不安にだけ溺れずに、一緒に生きていこう。

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『逢う日、花咲く。』で第25回電撃小説大賞を受賞し、デビュー。著書は他に『明けない夜のフラグメンツ』『世界の終わりとヒマワリとゼファー』『君を、死んでも忘れない』『この星で君と生きるための幾億の理由』『あの日見た流星、君と死ぬための願い』

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