「 走れ 」

「 走れ 」


 孤独を抱えて 走れ
 人はみな寂しくも 力強く生きている
 だからこそ世界は回る
 遅れをとるな
 お前の足で その腕で
 この星を回せ

 痛みを抱えてひた走れ
 涙なんて零れても構うな
 逆風の中でも目を見開け
 気付けば乾いているだろう

 その傷は力に変えろ
 悲しみは優しさに変えろ
 お前の世界を変えられるのは
 他ならぬお前だけだ

 光を求めるな
 光を生み出せ
 お前の振るう四肢には
 紛れもなくその力がある

 だから今こそ
 大地を蹴り
 風を切り裂き
 イバラを纏い
 壁をぶち抜き
 雄たけびを上げ

 あらゆる傷を飲み込んで
 全ての悲しみを引き連れて

 孤独を抱えて 走れ!


『逢う日、花咲く。』で第25回電撃小説大賞を受賞し、デビュー。著書は他に『明けない夜のフラグメンツ』『世界の終わりとヒマワリとゼファー』『君を、死んでも忘れない』『この星で君と生きるための幾億の理由』『あの日見た流星、君と死ぬための願い』

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