書影が公開されたら書こう書こうと思っていて、発売日まで忘れていました…
2022年9月13日(火)、5冊目の本が発売されました。
『この星で君と生きるための幾億の理由』
まるで世界の終わりみたいに危うげに美しい、緻密な描き込みの装丁イラストは、デビュー作の時にお世話になったふすいさんにお願いしました。今回も本当に素敵な絵をありがとうございます。幸せです。
書かせていただくのは初となる、マイナビ出版ファン文庫Tears様での出版です。
Tears(涙)という名前や、「今日だけは思い切り泣いてみませんか」というキャッチコピーがサイトにもある通り、「泣ける」話に重点を置いたレーベルで、今作も「泣ける」を強く意識して書きました。
(今作だけじゃなくて、毎回「泣ける」は意識してるんですが)
ファン文庫Tearsではこれまでは短編集を出していたけれど、長編を出すことになり、僕の今作がその第二弾になります。光栄です。
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公式からのあらすじを転記します。
高校二年生の漣(れん)は、父の転勤の都合で転校してきたばかりだが、クラスメイトと交流する気は一切ない。漣はある女の子との約束だけを心のよすがにして生きている。ある日の授業中、机の中に見覚えのない一冊のノートが入っているのに気付く。中身を確認しようと開くと、その瞬間目に飛び込んできたのは、「遺書」という文字だった。漣はノートの向こう側にいる誰かを救うため、シャーペンを手に取る……。
「いつか、本当に生きるのをやめたくなった時は、一緒に死のう」
かつて交わした、もう叶うことがなくなったその約束を、独り抱え続ける少年の、悔恨と執着と決意と、生きる理由の物語。
舞台は、全日制と夜間定時制が入れ替わりで同じ教室を使う高校。
一応、実在する町と高校を背景に意識していますが、がっつり取材したわけでもないので厳密には現実の通りではありません。
僕が通っていた高校は全日制だけだったので想像なんですが、そういう高校の場合だと、昼と夜で、同じ机を使うわけですよね。それってなんだかドラマが生まれそうじゃないですか?
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実は今回、先輩作家の綾崎隼さんから、帯に推薦コメントをいただいています。それも公式から引用します。
大人になると忘れてしまうもの。 大人になると見失ってしまうもの。 青海野灰が描く純度の高い物語は、 僕らが手放したものを、いつも思い出させてくれます。 時に。苦しくなるほどに。鮮やかに。
なんとありがたいお言葉でしょう。ありがとうございます。
子供の頃。学生の頃。自分が何にもなれず立ち尽くしていた頃。
そんな時に抱えていた悩みとか弱さとか青さとか後悔とか傷とか、そういったものを今でも自分は抱え続けているように思います。大人になんてなれていません。
こんな自分だからこそ書けるものがあるのなら、迷いも悩みも苦しみも痛みも後悔も、どんなものにも無駄なことなんてないのかな、と思えます。
本当に、作家になれてよかったです。
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前の新刊紹介(これ↓)にも書いたんですが・・・
僕は一冊ごとに、テーマとなる絵文字を紐付けています。
これまでは、🌼、🌙、🌻、💠。
今回だとそれは、「🚌(バス)」にしました。
表紙絵にも描かれていますが、主人公にとってとても大切な場所になっています。
「📓(ノート)」とか、「🐈⬛(黒猫)」とかも迷ったんですが、やっぱり一番はバスかな、と決めました。
イラストの、古びて、落書きもされた一見不気味なバスが、彼らにとってどんな場所なのかは、ぜひ読んで確かめてください。
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おまけ
表紙絵には、こっそりと黒猫もいます。(香箱座りで寝ててかわいい)
僕はTwitterでは黒猫をアイコンにしていますが、この絵の黒猫さんは僕ではありません(笑
この子も重要な存在ですので、本の中で見つけたら、応援してあげてください🐈⬛
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生きることに「意味」はなくても、生きるために「理由」は要るんだ。
そんな傷付いた者たちの、依存にも似た儚い愛情と約束の物語。
よろしくお願いします。