「 春に桜の舞い散るように 」

「 春に桜の舞い散るように 」

  ほんとうに ほんとうに
  逢えなくなって しまうのですか

  届かぬ想いと 分かっています
  叶わぬ願いと 分かっています

  それでも私の心には
  春に桜の舞い散るように
  あなたと過ごした優しい日々の
  想い出ばかりが募ります


  夏の夜空に零れる星に
  儚い願いを託してみても
  叶わぬことは 分かっています
  もう逢えないと 分かっています

  今でも私の心には
  秋に枯葉の舞い散るように
  寂しさだけが つもります


  それでも世界は回ります
  あなたを残して 私を乗せて
  愛しい日々は離れていって
  冬の小雪の舞い降るように
  心は冷たく 凍えます


  それでも世界は美しく
  朝日は昇り 花は開いて
  時は流れて 季節が巡り
  春の静かなそよ風が
  あなたの優しいその手のように
  私の背中を押してくれます


  涙は今も 零れるけれど
  春の桜の舞い散る中で
  私は前に 歩き出します

  あなたのいない この道のりを
  春に舞い散る桜のような
  あなたの笑顔の 記憶と共に

小説「春に桜の舞い散るように」はこちらから

『逢う日、花咲く。』で第25回電撃小説大賞を受賞し、デビュー。著書は他に『明けない夜のフラグメンツ』『世界の終わりとヒマワリとゼファー』『君を、死んでも忘れない』『この星で君と生きるための幾億の理由』『あの日見た流星、君と死ぬための願い』

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