作家がデジタルメモ「ポメラ」を使ってみた素直な感想

作家がデジタルメモ「ポメラ」を使ってみた素直な感想

先に断っておきます。

これはあくまでも個人の感想であって、客観的に商品の優劣を決めるレビューではありません。

また、既にポメラを愛用している人は見ない方がいいかもしれません。

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デジタルメモ「ポメラ」というものをご存知でしょうか。

文章作成に特化したポータブルデバイスで、「文字入力以外の機能は持たない!」という潔さというか、尖ったコンセプトを感じる製品です。

愛用している方の口コミは高評価で、僕も作家の端くれとして使ってみようかなという興味を持ち、去年の夏頃に購入してみました。

で、しばらく使ってみた素直な感想を書いてみようと思います。

ちなみに僕は、そこそこ新しいモデルの、DM200を購入しました。

こちらですね。

キングジム(Kingjim) デジタルメモ ポメラ 黒 DM200

「新しいモデル」といっても、発売されたのが2016年らしいので、今や6年前のものですね。十分古いです。

多分最新といえるモデルは2018年発売の「DM30」みたいだけど、こちらは製造終了していて入手困難だと思われます。

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まず、大事な点、打鍵感。キーボードの打ち心地とか、使い勝手ですね。

さすが文字入力特化のツールだけあって、非常に打ちやすいです。

キーピッチ(キーの間隔)やキーストローク(押し込みの深さ)も程よく、タイピングに関しては外付けのキーボードと遜色ない使い心地。

キーを打つ時の音も抑えめなので、静かな場所での作業も気にならないと思います。

キー配列でわがままを言うなら、個人的によく使う「Home」と「End」がないのが残念。Ctrlと十字キーの同時押しとかで代用はできるけれど、やはり単体で使える 「Home」と「End」 が欲しかった。

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サイズと重さ

閉じた状態で左手で持ってみるとこんな感じ。

長い辺が約26cm、短い辺が約12cm。バッグには余裕で入りますが、ジャケットやズボンなんかのポケットにはまず入りません。入ったとしてもかなりはみ出します。

重さは580グラムで、「重い」とはまったく感じませんね。持ち運ぶにはありがたいです。

写真に写ってるのは裏面ですが、表面は一切の装飾も、ロゴすらもない、一面の黒です。その潔いシンプルさは気持ちいい。

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続いて、画面

DM200は7インチワイド画面を搭載しています。スマホよりもちょっと大きい程度。

設定で、白背景に黒文字⇔黒背景に白文字、を変えられて、暗い場所でも黒画面にすれば目が痛くないです。

画面はとても綺麗で、文字も見やすいです。

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次、不満のある、機能面

「文字入力に特化」の端末のため、当然多機能ではないです。

ただその分、ネットサーフィンやゲーム等、作業を妨げる「誘惑」がないので、文章作成にだけ没頭できる。それがポメラの唯一性であり、強みなのだと思います。

ただ、四つの電子辞書を内蔵していて、「類語辞典」「国語辞典」「英和辞典」「和英辞典」を利用できます。

だから、「この単語の言い換え、どんなのがあるかな」とか「これって英語でどう書くんだっけ」という時は、ポメラだけで検索できちゃいます。

ただですね、致命的に感じるのが、PCとの連携なんですよ。

僕は小説の原稿は、Wordのファイルで書いて提出しています。

ポメラは、内部的にはテキストファイルで作成されます。

なので、テキストファイルで書いて、ファイルをPCに移動して、Wordに貼りつける作業が必要。正直面倒。

ポメラDM200の場合、「ポメラSync」という連携機能があるんですが、これ実はWindows非対応なんですよね…。MacやiPad/iPhoneが対応みたい。

一応、WindowsでもポメラSyncが使えるように追加のツールを作った人がいて、公開もしてくれていますが、設定も操作もなかなか煩雑…。

僕個人の話ですけど、仕事の据え置きメインPCと、持ち運ぶ端末と、頻繁にデータのやり取りをしたい派なので、この作業がいちいち面倒なのは大きすぎるマイナスポイントでした。同期するために都度ネットワークに接続するんですが、それだけでも10秒くらいかかって、その後の同期処理でも10秒くらいかかってしまう。

USBケーブルを接続してファイルのやり取りもできるけれど、これもわざわざ線を繋いでエクスプローラーで操作するのが面倒。SDカードの抜き差しも同様。

Windowsでの執筆であれば、OneDrive等のクラウド上に原稿ファイルを入れて、常にバックアップしつつ、端末を切り替えても同期されているのでそのまま作業できるメリットがあります。例えば、家では固定のPCで作業して、外出先では小型のタブレット端末でファイルの移動の必要なくそのまま続きを書く、とかね。

この、ポメラの「ファイルのやり取りの煩雑さ」が、個人的には使い続けるのは難しいなぁと思わせる最大の要因でした。

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最後、値段

僕は2021年の8月にポメラDM200をAmazonで購入したんですが、その時点では ¥34,875(税込) でした。(今見たらなぜかちょっと値上がりしている模様)

電子辞書が内蔵されているとはいえ、文章入力特化ツールでこの値段はめちゃくちゃ悩んだ点です。

そしてしばらく使ってみた今となっては、若干後悔している金額でもあります。

僕は先日、MicrosoftのタブレットPC「SurfaceGo3」を、約6万円で購入しました。

10.5インチのスクリーンで、タッチできるのでマウスがほぼいらない。OneDriveも入っててOfficeインストール済みなので、購入して即、執筆の続きができる。(キーボードは別売りだけど…)

もちろんOSがWindowsなので、文章入力だけじゃなくてニュース見たり動画見たり、Kindleで本を読んだりもできる。顔認証でセキュア。それがたった544グラムでどこでも持ち歩ける。その「近未来感」にちょっとわくわくしちゃいました。

6年も前のポメラDM200と最新機を比較するのは酷だとは思うけれど、ポメラの価格に+2~3万ほど足せば最新のSurfaceGoが買えちゃうと思うと、ポメラを検討している人にはあまりオススメできないなぁと思っちゃいますね。

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以上となります…

もしご不快に感じられた方がいましたら申し訳ありません。

ただ、再掲しますがこれはあくまでも僕が想定した用途での、個人的な感想であって、万人に当てはまるものではありません。

ポメラはあくまでも、「ケット・モ・イター」であって、いつでも持ち歩いてふと思いついたことのメモを残したり、プロットを作ったりするのには良くて、原稿執筆に向かないのは当たり前なのかもしれません。

そういった本来の用途でポメラを愛用している人がいるのも分かります。それを否定するつもりはまったくありません。

それに、DM200の発売から6年も経っているので、そろそろ新モデルが出るかもしれませんね。そこでは、ネックだったファイル連携がもっとスムーズに、自動でできるようになっていると、使い勝手がガラリと変わる可能性はあります。

では、雑然と長い文章になっちゃいましたが、お付き合いいただきありがとうございました。

『逢う日、花咲く。』で第25回電撃小説大賞を受賞し、デビュー。著書は他に『明けない夜のフラグメンツ』『世界の終わりとヒマワリとゼファー』『君を、死んでも忘れない』『この星で君と生きるための幾億の理由』『あの日見た流星、君と死ぬための願い』

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