お題:探偵 「くそっ、何でも屋と化してた俺には荷が重いって」 真冬の鋭い月が浮かぶ夜の町外れを、悪態を吐きながら自転車のペダルを漕ぐと、乱れた息が何本もの白い柱となって立ち昇った。 目的の工場が見えてきた辺りで太ももが […]
【掌編】銀の牢獄
お題:待つ人 彼女は奇跡だった。 黎明の光の中でそれは踊る様に、唄う様に、自らも光を放っているかの様に美しく舞っていた。 彼女は希望だった。 いつも見上げていた。 ずっと眺めていた。 焦がれていた。 ――あなたはいつも […]
【既刊宣伝】世界の終わりとヒマワリとゼファー
刊行済みの本の宣伝、第三弾です。 このカテゴリの記事をもっと増やしていけたらいいな。 世界の終わりとヒマワリとゼファー これまでの二冊(『逢う日、花咲く。』と『明けない夜のフラグメンツ』)は、メディアワークスというレーベ […]
【三題噺】世界の始まりの君の歌
※こちら↓を先に読んで頂いた方が楽しめるかと思いますが、強制はしません。『世界の終わりを君と』 ☁ ☁ ☁ 二人で、錆び付いた鉄道のレールの上を歩いた。 かつて世界を遍く満たし、そこにあった全ての業や咎、あらゆる絶 […]
【既刊宣伝】明けない夜のフラグメンツ
刊行済みの本の宣伝、第二弾です。 明けない夜のフラグメンツ サブタイトルとして、「あの日言えなかったさよならを、君に」というのが付いています。 表装が幻想的でとても綺麗。 素敵なイラストはへちま先生に描いて頂きました。 […]
【日記】インセンスが好き、の話
久しぶりの日記になってしまいました。 やることが色々あると、一日ってあっという間に終わりますね。 時間は矢のように流れ、記憶はどんどん薄れていく。 忘れてしまったことって、実際にはあったことなのに、思い出せなくなるとそれ […]
【掌編】白百合渡る蒼穹に
お題:猫とアオゾラ 盗んだパンを抱え、汚れた灰色の石の街を裸足で駆け抜けた。身に纏うのは街よりも汚れたボロ一枚。背に浴びる怒号は風よりも早く遠ざかる。私の足は、富と贅肉を持つ大人には決して捕まらない。 暗い路地裏の塵 […]
【掌編】「 snow letter 」
お題:恋愛 引っ越しの準備の最中、懐かしい本から、はらりと一枚の栞が落ちた。 月が、綺麗ですね それは何の柄もないただの厚紙で、その言葉だけがそっと囁くように書かれている。印刷ではないから、ユキの手書きなのだろ […]
【日記】アームスタンドで読書量が増えた、の話
今日は久しぶりに涼やかな晴れの日で、散歩に最適な一日だったわけですが、仕事があって散歩できませんでした。悔しい。何なの社会人って。 というわけで今日も日記にするようなことがないので、全然違うことを書きます。 . ここを見 […]
【掌編】Lovers End Worlds
お題:再会 人類が未知のウィルスにより死滅してから、もう五十年が経つ。 科学者であった夫が作った私の義体は、必要な熱量の摂取さえ怠らなければ問題なく稼働し続けていた。彼の最期の贈り物――今も胸部ドライブで回転を続ける […]